■金余りによる新興国への投資がモザンビークの農地にもたらしたこと

堀)
よろしくお願いします。

渡辺)
よろしくお願いします。

堀)
今回、ビザ発給拒否問題をきっかけにモザンビークのお話を伺って、僕自身も、「日本のODAもこうやって関わって来たんだ」とか、一方で「地域の方々と政府の間ではこういう問題が発生していたのか」と初めて知ることも多かったんですよね。具体的には今何が一番問題だということで警鐘を鳴らさないといけない時期なのでしょうか?

渡辺)
ことの発端は、2008年の世界的な食料価格の高騰です。そこから、先進国と言われる国々、あるいは、「先進国とは言われていなくても財力があって、ただ自分たちの国が乾燥していたりとかで食料の生産ができないような国」が、輸出輸入だけとか、自国での生産だけとかではなく、海外に農地を求め始めたんです。それが2008年から2010年にかけてどんと増えて。一方で、その頃リーマンショックがあり、投資や投機マネーの行き先がなくなった時に、それが農産物や、それを支えるための土地というものに向いていったという、この大きい二つの流れがそこでできたといわれているんです。そこから、海外の農地を使っての生産が始まりました。

アフリカは「飢餓」や「貧困」という言葉で語られることが多いと思うのですが、アフリカの人たちが食べる食料の8割はアフリカの農民が生産していると言われているんです。しかし、「彼らは貧しい」、「何もできない」、「低投入の農業をしているから低生産だ」という一方的な方程式の元に現地の人たちを決めつけて、「だからこそ開発をしてあげるんだ」、「大規模な企業が入っての農業の生産が必要なんだ」と言われる。アフリカの人が食べる食料の8割の食料を生産しているということは、それだけ農民が多いということなんです。しかし、その人たちの人権を無視する形で、「土地の収奪」、「農地の収奪」が起きてきているというのが一番の問題です。アフリカは日本やヨーロッパと違って、土地の所有権を人々は持たないんです。慣習的に利用権はあるんです。私が関わっているモザンビークでは、そこに10年暮らして耕した人は、生涯にわたってその土地を利用する権利があるという素晴らしい土地法があるんです。しかし、そういう利用権があるにも関わらず、それが無視される形で、「土地は国のものだ」と言わんばかりに土地収奪が起きます。

そこでもう一つ何が問題かというと、企業や海外から入って来た時に、その国の政府がきちんと自国の農民や人々の権利を本来は守らないといけないはずなのに、結託をしてしまう。それが地元のレベルまで落ちてきて、人権侵害が起きる。農民からすると、行き場がないんですよね。彼らはそこに先祖代々暮らして来た人たちで、そこに暮らすしかない、そこで農民として生きるしかない人たちなのですが、そうして土地が奪われ、権利が奪われていく。最初は声の上げ方も分からず、所有権がないと言われ一方的に取られたということもあり、それも大きな問題です。

海外アグリビジネスにより収奪された土地に立つ住民。企業により大豆が植えられている。

■土地収奪で「今はもう一食食べるのもままならないくらい」

堀)
ちょうど僕も2008年頃はNHKで経済ニュースのキャスターをしていて、バイオエタノールの需要が高まると言って、穀物市場への投資が過熱し、価格が高騰しているという話をよく伝えていました。金余りによる南米やアフリカなど新興国への投資についても。当時の経済ニュースの伝え方としては、「こういう形で日本や先進国の景気の低迷を支える」、「新興国経済への投資が先進国の不景気からの回復を牽引する」、「ここが鍵なんだ」と。その先でどういう犠牲が発生していくのかというのは相当注意深く見ておかないと、どうしても自国優先、生活優先に陥りがちだなと改めて思い出して聞いていました。実際に金余りで、モザンビークにおいては、どういう国のどういう産業がそこの農民の皆さんの土地を結果的に収奪することに繋がっていったのでしょうか?

渡辺)
モザンビークはもともとポルトガルの植民地で、ポルトガル語圏なんです。なので、土地収奪で最初見られたのはポルトガルの企業やブラジルの企業が多いです。アメリカや中国、インドや南アフリカもあります。世界的にそういう動きが始まったのは2008年頃ですが、モザンビークでそういうことがよく起こるようになったのが2010年くらい。政府が2005年くらいから投資を入れるという政策に変えたというのが一因としてあります。日本のODA事業「プロサバンナ」が2009年に麻生政権下で、ブラジルとモザンビーク、日本の三カ国で合意されています。その後実は、現地や東京で投資セミナーが頻繁に行われ、その間は、我々も気付かずに事が進んでいた感じがありました。農民たちが気付いて動き出したのが2012年。「プロサバンナ」事業はまだ大きくは始まっていないと言われていますが、日本の商社などが現地に行って、現地での投資を呼び込んだり、「こういうものを作ってくれたら我々が買いますよ」と大豆生産を奨励していたんです。それは政府文書や公文書を開示請求してようやく分かってきたことです。2010、2011年頃から起きたモザンビークでの土地収奪は、大豆生産をしている企業がほとんど。もともとユーカリの木とかを植林していたのに、それを大豆生産に変えるということがその当時起きて来ていて。なので、「『プロサバンナ事業』は土地収奪と決して無関係ではない」と現地の側では言われていますし、我々もそう考えています。また、モザンビークの北部は非常に肥沃な土地なのですが、その一帯の広範囲で、日本が目玉の事業として「ナカラ経済回廊開発」というインフラ整備と内陸部の資源開発も結びつけた大きい開発事業をやっているので、それも関係しています。

2013年4月投資セミナー

堀)
山林だった場所が農地に開拓されて、そこで大豆の生産が大規模に始められているということも実際にあるんですね。他の作物はありましたか?

渡辺)
当初すごく見られたのが大豆なんで、それが2013年くらいまで続きました。ただ、その頃からNGOもそうした問題に気付き始めるんですよ。農民も最初はどうしたらいいか分からなかったのが、抵抗運動を展開し始めて。そうしたら、新しい作物をといっても、目が入るように。そこから土地収奪の形もちょっと変わりつつあります。

収奪された土地。大豆を栽培。

堀)
ようやく監視の目が広がるようになって来たんですね。でもその背景では、そうした、あくまでも国と民が一体となった政府開発援助だとして支援策のように見えるものが、回り回って地元の方々に色々と軋轢を生んでいることもあるんですよね。この構図というのはやはり不条理なジレンマがある部分ですか?

渡辺)
そうですね。援助という文脈で語ると、やはりいいことに聞こえるというのが一つ。もう一つは、援助であれ、税金を使っているのであれば国益のためでもあるべきだっていうそういう論理もあり、そこで問題が複雑化していくということ。なかなかはっきりとどっちが良い悪いと言えなくなってくる。ただ、そのやり方にはすごく問題があって。やはりそこに暮らしている人が主権者であり当事者であるということは忘れてはいけないですよね。

堀)
実際に関わってこられる中で、具体的に農民の方が、以前はこうだったけどこんな風に生活が変わってしまったというような具体例はありますか?

渡辺)
そうですね、私は2013年から、現場で何が起きているんだということで、日本のODA事業の背景について調査をし始めたんですね。当時「プロサバンナ」事業が本格的に始まっていなかったこともあり、モザンビークの状況を大まかにするために行ったのですが、土地収奪の事例を探すのに全く苦労せず、石を投げれば土地収奪の事例に当たるくらいに頻発していました。そこで現地の農民を訪問をして話を聞いてみると、以前は1日4回食べられるほど生産をし、自分で食べて余ったものを売ったお金で乾燥した魚などを買い、そういうもので一年中食べられたと。でも、今はもう一食食べるのもままならないくらいで。

モザンビーク北部 年間降雨量1200mmほどで水が豊富
ローカルマーケットで販売される多様な食べもの

堀)
それは、その方が耕し、そこに種を植え、という場所を失ってしまったからなんですか?

渡辺)
はい、土地収奪で失い、行き場もなく、食べるものもないというのがまず一つ。もう一つは、売るものも無く、食べるのもままならないということで、子どもも学校にも行けず、教育面にも影響があるということ。やることがなくなったその若者たちが、食べられないということで盗みに走るということも、お母さんたち嘆いていらっしゃいます。あともう一つは、コミュニティの解体。もともとモザンビークは隣の村やコミュニティと助け合って暮らしており、以前であれば、ある一つのコミュニティの土地が取られたとしても、隣の村のチーフ(村長)に話せば、土地を借りて耕すということもできました。しかし、それができるのは、男手があり、若い人がいるご家庭だけ。シングルマザーや、高齢者のみのご家庭は、遠くまで行って耕すということができず、結局コミュニティが解体されていってしまうという問題も聞きました。また、単に農業ができなくなるというだけでなく、水場もなくなる。さらに、先祖代々のお墓とかも潰されるという、暮らし全体が壊されていくという影響があります。

身近にある水場

■手法を変え、土地収奪を続ける企業 日本企業にも動きが

堀)
実際、これまで使っていた土地が使えなくなるというのは、どんな様子で使えなくなっていくんですか?いきなり政府の役人が押しかけるのか、企業が急にフェンスを張ってしまうのか?

渡辺)
色々なパターンがあります。モザンビークの土地法では、入って来た企業が最低2回から4回程は住民との話し合い(コンサルテーション)をしないといけないという決まりになっています。モザンビークでは土地を「転作」しており、3年間はある場所を使い、そこの土地が疲れたら自分たちの地域内で次の場所に移るという仕組みを取っています。なので、その時期に使っている土地が割と限られるということで、「じゃあここの使っていない土地だけください」と、企業は最初のコンサルテーションでは伝えるのです。「そうすれば、病院も建ててあげるし学校も作ってあげるし、工場で雇用もしてあげる」と。そして、農民は使っていいよと約束し、企業はその土地を取っていく。しかし結局、その約束が全く果たされることはなく、さらに、取った土地の周りの肥沃な土地に植えているものをトラクターなどで引っこ抜いて取っていってしまうというのです。もう一つのパターンは、突然来てブルドーザーで既に植えているものや森林を強行伐採し、住民たちが怖くなって逃げていったと。その土地収奪をしていた企業にインタビューしに言ったのですが、「我々は強制的に奪っていない。それをやったら怖くなって農民たちが勝手に逃げて行っただけだ」と。

堀)
そういう企業はリスト化されて公表されていますか?

渡辺)
はい。最初に2008年に食料価格高騰が起きた時に、これから先多分土地収奪みたいなことが起こるんじゃないかということの警鐘を鳴らした国際NGO 「GRAIN」(https://www.grain.org)と、現地で私たちが一緒に活動しているUNAC(全国農民運動)が調査を行い、広さや企業の国籍、名前のリストを作ったものがあります。

堀)
どれくらいのボリュームの企業になりましたか?

渡辺)
結構ありましたね。何十社とか。何万ヘクタール、何千ヘクタールという大きい単位でとっていく企業もあれば、最近よくあるのは、いきなり大きく取っていくのは国際的な目が入るようになったのでちょっとずつ奪っていくところも。例えば、「契約栽培をしてあげる」と言って入ってくる企業。「契約栽培の代わりに、ここで会社作らせて」と。しかし、契約栽培始めるものの、それがどう考えても契約書が不当な内容だったり、契約書すら持っていなかったりということも。結局、借金が残るような形の契約で契約不履行ということで土地を担保に取っていく、契約栽培をしていて使えなくなった土地をちょっとずつ奪っていく、といったやり方で土地収奪を起こしている企業があることも調査によってわかってきました。

企業との契約書を見ながら、いかに契約範囲を超えて企業が土地を奪っているかを説明する農民

堀)
実際そこには、日本の関連企業も含まれているんですか?

渡辺)
日本の企業は、2013、2014年頃までは、私たちが確認している限りは2社が土地取得に動いていています。実際にアプローチをされた農民たちのところにも行きました。2013年頃から我々と現地の農民や市民社会の運動が公になり広がってきたこともあって、そこから突然その企業が来なくなったという風な話をしていました。ただ、私が得ている情報では、その一社に限ってはタンザニアに行って同じようなことをやっています。タンザニアはそんなに日本の市民社会も入っていないのでモグラ叩き状態。なので、日本企業が直接土地を奪う、取得するということは、動きはあったけれども、直接的にはないはずです。

堀)
それはないというか、ある意味区止めたという表現でしょうか?

渡辺)
そうですね。

堀)
そこで作られた製品は、ひょっとしたら私たちが日常の中で享受している何かかもしれないということですか。

渡辺)
そうなんです。一つは商社、もう一つは、家具やカーテンを作っている企業です。モザンビークで生産をする予定だったもの、そして今タンザニアで生産しているものが、コットン(綿)。きっとお家で使うそういうものに使っているはずです。

堀)
ニトリですか?

渡辺)
そうですね。

堀)
報告書は具体的な企業名が?

渡辺)
もう出しています。

堀)
先日、NGO「ACE」を取材して、児童労働の現場でもまさに、チョコレートにしてもコットンにしても、私たちが知らない間に児童労働に加担している可能性があるという切り口でインタビュー記事を出すと、ものすごくたくさん見てもらえたんです。取材している側からすれば、「今更?児童労働が関わっていることを知らなかったの?」と。でも実際に、「ODAの先でもこういうことが起きている」ということは知らない人多いんじゃないかなと思います。

■人権侵害が発生している「ナカラ経済回廊開発」へ日本も融資を検討中

渡辺)
そうですね。「ナカラ経済回廊開発」での影響もすでに調べています。炭鉱開発の周辺で強制移住が起きており、そこで、反対する住民への人権侵害、身体的虐待が起きています。

モアティゼ 抵抗した住民が拷問を受けた様子

堀)
それはどういった状況で発生するんですか?

渡辺)
住民が道路封鎖やストライキによって企業の行為を停止させようとした時に起きています。それで捕まえられて拷問に合うようなこともおそらくあると思います。「あると思う」というのは、例えば、「プロサバンナ」に関する公聴会が現場で開かれた時に、反対の声を強くあげた地域があったんです。その地域の農民リーダーの女性の方がその翌日に4、5時間、地元の行政の人や警察が囲む中で拘束をされ、「プロサバンナ」事業への反対意見を翻すようにというのをずっと強く言われていたということがありました。それが女性に起きたということが非常にショックだったんですけど。そういうレベルであるので、やっぱり私が直接本人にあって聞いているわけではありませんが、農民の中からそういうことをされている人が周りにいるということは聞いています。あとは、強制的な住民移転。「ナカラ経済回廊開発」で鉄道整備を直接的にやっているのはブラジルのVale社という企業ですが、そこの権益を持っているのが三井物産。そこにJBIC(日本開発銀行)がODA枠ではない融資という形でその企業にお金を出すかを今検討しているということもあります。出どころは私たちの税金です。

モアティゼ(Vale社開発の炭鉱がある町)住民抵抗

堀)

実際に送っていただいた「ODAウォッチ プロサバンナ事業 第17回」でまさに、この「ナカラ経済回廊開発」に積極的に取り組んでいる中には日本の複数企業が石炭開発や鉄道公安などインフラ整備に投資を。三井物産は何と言っているんですか?

渡辺)
三井物産さんには直接は会っていませんが、JBIC(国際協力銀行)とはずっと話を続けてきています。彼らは、「我々が調査をやったところではそう言った事例は確認されていません」とか、「それはその後解消されています」とか、そういう説明。融資を決定するか否かということについては、もうすでに整備はほぼ終わっているので、そこにお金を充てがうということになるので、「これから始めることではなく、すでにやったことだ。あとはモニタリングの中で改善していく」という言い方をして。やっている時に被害を与えたことに対して対応すべきですし、それをやってからの融資だと言う話し合いをしています。

堀)
そして、こうした地域では現地の人々が「内戦」と呼ぶ状況にあると報告していらっしゃいますね。

渡辺)
中部の方で治安状況が悪くなってはきていたんです。それはもともと、1977年の独立後から1992年まで、与党フレリモ党(紛争時の政権)とレナモ党(元反政府組織の最大野党)が武力紛争を続けていたことにあります。アフリカではよく見られることなのですが、内戦や武力紛争を起こしていた当事者同士が政権を取って野党と与党になるので、未だにバランスが取れていません。そういうことで、様々な要因が重なって再び衝突が増えてきていました。それが先ほど言った炭鉱の地域で2015年から勃発し始め、その年に1万人を超える難民がマラウィ側に流れたという話があります。URHCRが聞き取理をした難民の方々の話によれば、住民を難民化させたのは、政府の特殊部隊が「お前たちはレナモだろ」と追いやったからだと言います。それに対しレナモ側は、開発の象徴である鉄道整備や回廊を襲撃していく。そういうことが頻発している様子を察して、小さい頃のいわゆる武力紛争時代を覚えている30歳くらいまでの人々が、その当時の様子とかを察して、「こういう風にして紛争が始まっていった」という実感から「内戦状態になっていっている」という言い方をしていました。

■「被害を受けている側の立場に人として絶対に立ちたい」

堀)
実際アクションとして警鐘を鳴らされましたよね。具体的には今求めていることはどういう内容のものか、改めて簡潔教えてください。

渡辺)
求めていることは、現地の農民たちの人権が守られることですね。先ほどお話しした通り、反対の声をあげる農民が弾圧を受けて言いたいことを言えなくなるということが起きている中で、彼らが怖い思いをせずに彼らの社会を考えられる環境が求められているし、大きな援助を入れている日本政府にはそれを用意する責任があるはずです。この事業に対する反対の声によって運動が大きくな理、これだけの人権侵害が起きているので、きちんと人権侵害というものを認識して対応していくことが求められると思います。

堀)
日本政府は具体的にどういう対応を取るべきだと渡辺さんは思われていますか?

渡辺)
そうですね。日本政府として、「これは人権侵害だと認識している」と強く言うことですね。例えば、「プロサバンナ」事業で契約をしている企業が土地収奪をしているという訴えがあり、私たちはそれを実際に現地に行って情報を集め、ファクトベースで政府との対話の場に持っていきます。しかし、彼らがやったことといえば、それをやっている当人であるモザンビーク政府とその企業に確認し、「彼らがやっていないと言ったから人権侵害はありません」という対応をします。「人権侵害」と言った時に、人権の主権者、当事者は民であるはずであって、政府が人権侵害をやっているのかやってないのか、人権は何たるかを決める立場にはない。当事者が、「これは我々の権利なんだ」と訴えをしているのであれば、モザンビーク政府に「この人権侵害を認めている」と伝えると同時に、彼らが安心して話せる環境を用意することが求められていると思います。

堀)
そう言う訴えや聞き取りを地元の市民側に立って活動していたところを、モザンビーク政府からビザが発注されないという事態に発展したわけですよね。今署名活動もしていますが、今後どういうメッセージを発信していきたいですか?

渡辺)
まず、外務省、モザンビーク政府に対しては、一部で再発防止という声も出始めているんですけど、そうではなくて、「発給拒否の撤回」に尽きます。我々は、ファクトベースで調査を行い、確かに政府の声とは違う声を聞いて訴えてきました。しかし、まず認識しないといけないのは、今起きている問題は圧倒的な権力構造の中で起きていて、そういう時に求められるのは、「中立」ではなく、いかに「公正」であるべきか、だと思っています。「その時は弱者、被害を受けている側の立場に人として絶対に立ちたい、そこから声を発したい、そこから社会を変えたい」と思ってやってきただけのことなんです。その結果、ビザの発給を拒否されるということはおかしいと思いますし、それは一方的な暴力であるということを伝えたいということがあります。

堀)
ビザが下りてまた現地に戻れるとしたら、こうした調査の続きなど、やりたいことたくさんあるんじゃないですか?

渡辺)
現地の小規模農民たちも単に反対の声を上げているわけではなくて、自分たちの主権に基づいた農業だったり、それに基づいた発展をしていきたいんだと話しています。それを、抵抗運動をするだけではなくて、実践に移していく術を一緒に考えてくれと言われて調査を開始したんです。実地で農業の研修や、生産性を上げた時の発展のあり方というのを決して「プロサバンナ」のように上から降ってきたやり方ではなくて、農民たち自身が考えたやり方でできるのかというのを本当は一緒に考えたいと思っています。

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