■「補助犬法施行から今年で15年」しかし理解はまだまだこれから
みなさん、10月1日が、目や耳、身体の不自由な人たちをサポートしている補助犬たちにとっても大切な日、「 #ほじょ犬の日 」だというのをご存知でしたか?今から15年前の2002年10月1日に身体障害者補助犬法が施行されました。補助犬とは盲導犬、聴導犬、介助犬たちのことです。
GARDENでも度々補助犬たちの活躍や使用者のみなさんの思い、サポートするNPOのアクションなどを伝えてきましたが、社会を見渡すとまだまだ補助犬に対しての理解が進んでいない現状も実感させられます。
補助犬法では公共施設や、不特定多数の者が利用する施設で、補助犬の同伴を拒んではならないと定められました。
しかし、2015年時点で、補助犬の同伴を拒否されたことのある人の割合は、66.0%にまで上ります(※1) 。取材の中で盲導犬ユーザーの方から「馴染みの店だったのに、他のお客さんからクレームがあって店長からご遠慮願えますかと断られてしまった」経験を聞かせてもらったことがあります。
特定非営利活動法人日本補助犬情報センターの橋爪智子・事務局長さんは「法律ができたことは大きな成果ですが、社会との接点を深めて、より多くの人たちの理解を広げていきたいです」と語り、補助犬やユーザーさんと社会を繋ぐ「ハブになりたい」と様々な活動を行なっています。
橋爪さんは、補助犬に関わり始めて15年。補助犬に関する、“正しく知らない”ことが招いた悲しい出来事、不安を解消する役割を果たしてきました。補助犬に関する情報を正しく伝えるためのハンドブック、YouTube動画などを作成。さらに補助犬ユーザーから同伴拒否の相談を受ける度、可能な限りその事業者を訪ね、または電話をして、第三者の立場からアドバイスを重ねています。ホテルや商業施設などと連携し補助犬用のトイレの設置や啓発イベントの実施を行ったり、ハンバーガーチェーンと共に啓発活動などを積極的に進めてきました。
先日も、私が恵比寿新聞やamuと共に開催しているワークショップ「伝える人になろう講座」で日本補助犬情報センターの橋爪さんや当事者の皆さんをゲストに招いてお話を伺いましたが、よかったこと、困ったこと、悩んでいること、改善したいこと、感謝していることなど、会場の参加者の皆さんがどの話も新鮮に受け止めている様子が印象的でした。
■10月1日「#ほじょ犬の日」であなたにとっての〈ありがとう〉つぶやいて
「もっともっと多くの人たちに知ってほしい」。
橋爪さんたちは、「 #ほじょ犬の日 」の10月1日12時〜13時の1時間の間での、SNSを使った新たな試みに挑戦しました。補助券は障害のある方達にとって心強いパートナー。自分にとって補助犬のような存在への「ありがとう」を、写真にとって投稿してほしいと呼びかけを。ツイッターではハッシュタグ「 #ほじょ犬の日 」を添えてもらうことで、トレンドワード入りを目指すという試みです。トレンド入りすることで、これまで補助犬のことを知らなかった人たちにも存在を伝えたいというのが狙いです。
「 #ほじょ犬の日 」当日、12時になった瞬間から始まったそれぞれの「ありがとう」ツイート。
GARDENジャーナリストのタカハシケンジさんが編集長を務める恵比寿新聞さんは、現在、「補助犬フレンドリーなお店を恵比寿で100店舗にする」活動を独自に始め、「Welcome!ほじょ犬」と書かれた補助犬同伴可シールを恵比寿の店舗に配り歩いています。「 #ほじょ犬の日 」ツイートでは、この日までに賛同してくれた25店舗を紹介してくれました。
🐕恵比寿補助犬フレンドリーなお店
9)チャイニーズダイニング方哉
最近スズメバチに刺されて大変だったまさやシェフ。現在は元気です。チャーハンが非常に美味しい中華ダイニング。補助犬ユーザーさんが前回いらっしゃったお店
東京都渋谷区恵比寿4-23-14 #ほじょ犬の日 pic.twitter.com/svMv6cCyKh— 恵比寿新聞 (@ebisushinbun) October 1, 2017
放送作家で脚本・演出家のGARDENジャーナリスト・きたむらけんじさんも、補助犬の入店拒否についてツイートを。
補助犬とは盲導犬、介助犬、補助犬の総称。いまだに入店お断りのお店がたくさん。犬アレルギーの方もいらっしゃいますから、ムリに入店させよ!と言ってはいません。お客さんに確認してあげられる理解あるお店が増えたらいいな #ほじょ犬の日 https://t.co/8YfP35u8ao
— きたむらけんじ (@tokyofestival) October 1, 2017
GARDENでも活動を取材させていただいたマリオネット作家のオレンジパフェさんも、手作りのマリオネットでありがとうを届けてくれました。
君もどこかで誰かを。
いつもありがとう!#ほじょ犬の日 pic.twitter.com/j2LvnrYjDq— オレンジパフェ Official (@Orangeparfaitev) October 1, 2017
外国にルーツを持つ子どもたちに専門の日本語教育を提供しているYSCグローバル・スクールの田中宝紀さんも、教室で一生懸命学んでいる子どもたちの写真とともに、ありがとうを。
動物ではないのですが…
外国にルーツを持つ子どもたちとその家族、彼らと共に歩む職員と、ご寄付やボランティアで支えて下さっている皆さんに…最大級のありがとう!#ほじょ犬の日 pic.twitter.com/jeDltESqqt
— 田中宝紀-IKI TANAKA (@iki_tanaka) October 1, 2017
たくさんの愛のこもった「ありがとう」に、「#ほじょ犬の日のハッシュタグを見てると、心があったかくなる」というツイートも。13時にはトレンド入りという目標を見事達成することができました。
きましたー!みなさん、本当にありがとうございます!!#ほじょ犬の日 pic.twitter.com/wfmXcTZhgc
— 日本補助犬情報センター (@ganba0hojoken) October 1, 2017
すると、シャープ株式会社さんも。
#ほじょ犬の日 → 10月1日〈 #ほじょ犬の日 〉であなたの「ありがとう」をつぶやいて 補助犬法施行から15年で試み (堀潤) – Y!ニュース https://t.co/hO99kJLKLP
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) October 1, 2017
さらに、Twitterモーメントさんまで。
10月1日は #ほじょ犬の日https://t.co/QM1b7axGHu
— Twitter モーメント (@MomentsJapan) October 1, 2017
ハッシュタグ「 #ほじょ犬の日 」での「ありがとう」ツイートは、この日が終わるギリギリまで、止むことはありませんでした。
SNSで集まった写真は、今回のキャンペーンのために日本補助犬情報センターが開設したPinterestで公開。犬たちだけではなく、みんなの「ありがとう」で溢れる素敵な写真ボードが完成しました。→ http://pin.it/Hw-Qcm8
補助犬法が制定されて15年。現状では残念ながら、補助犬法を知らない人の割合が64%だという数字があります(※2)。補助犬について“正しく”知る人が1人、2人と増えていくことが、補助犬ユーザーの方も、周りの人も、気持ちよく暮らすことのできる社会へと繋がっていく。
市民一人ひとりによるツイートというアクションが大きな力となることを証明した、とても温かい試みとなりました。