戦争

872枚の墨絵で描く「戦争レクイエム」。平和への祈りこめ、ロシア・サンクトペテルブルクで展覧会

戦争レクイエム

音楽をテーマに40年近く制作を続けてきた大分県在住の画家、ゴトウ千香子さん(62歳)が2019年10月、ロシア・サンクトペテルブルクで展覧会を計画しています。「戦争レクイエム」という曲をテーマにした音楽作品で、第2次大戦中に150万人ともいわれる犠牲者を出した「レニングラード包囲戦」の悲劇に焦点を当てるそうです。展覧会にかかる費用をクラウドファンディングで募っています。

「戦争レクイエム」は、イギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンの作った曲です。

ゴトウさんが「戦争レクイエム」をテーマに選んだのは、ある一つのフィルムがきっかけでした。ブリテンが、かつて敵国同士だったロシア、ドイツからソリストを招き、共演させたといわれているフィルムです。ゴトウさんは偶然イギリスでそれを鑑賞し、その映像と音楽に感動しました。

「一生かかっても太刀打ちできない重いテーマ、私の力量では、1枚2枚と描いても納得のいく絵ができるとは思いません」

そこでゴトウさんがとったのは、何枚もの絵を描き続けていくという方法でした。

「同じ形を根気よく繰り返せば、私の力でも、お経のように繰り返し、繰り返す中で、祈りのカタチができるのではないか」

そう思い至ったからだといいます。

2015-2016年、「戦争レクイエム」をテーマに初めて挑んだときは、108枚のシルク(1枚50cmX50cm)を使いました。「108」は仏教でいう煩悩の数です。染料で黒地に丸い形を白抜きし、戦争で亡くなった方々に祈りを捧げたい、という趣旨で描いたそうです。

今回、ロシア・サンクトペテルブルクでの開催にあたり、ゴトウさんは「レニングラード包囲戦(1941-44)」というこの都市の悲劇に的を絞ることにしました。

「この都市がナチス・ドイツに包囲された872日間(一説によると900日)この数だけ祈りをささげよう」

そう思い、872枚の作品を作ることにしたそうです。

今回の絵はシルクの布ではなく、35cmX35cm の韓紙に墨で描いています。黒地に白抜きの絵は、多くの墨を必要とします。その墨をするところから、「祈り」が始まるそうです。

ゴトウさんは「戦争レクイエム」に取り組む以前から、音楽をテーマにした作品を制作していましたが、楽しみのための音楽が中心でした。作風もカラフルなものでしたが、「戦争レクイエム」はこれまでの作風とはがらりと変わったものになっています。

ゴトウさんは、ただつくること、続けること、一人でも多くの方に見ていただくことを目標に描いているそうです。

「笑われるかも知れませんが、実現したいことは『世界平和』です。
ただ、無力な私にできるのは、小さいことを始めることと、続けることだけです」

「今回で一つの夢が実現すれば、次の土地が私を招いてくれるものと信じています。
世界に『レクイエム』(鎮魂歌)の必要がある場所がある限り、できることを続けて参ります」

展覧会は10月5~13日開催の予定です。販売は行わずに展示のみを考えており、7月31日までクラウドファンディングで支援を募っています。詳細は、こちらをご覧ください。

A-port 朝日新聞社

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