ダイバーシティ子ども教育

【イチからわかる!】「日本語教育が必要な子ども」って?(前編)

最近メディアで話題になっている、日本語教育が必要な子どもたち。どんな現状で、何を必要としているのでしょうか?

 

2010年から、東京で年間約100名の海外にルーツを持つ子どもたちに日本語教育と教科学習支援を行なってきたYSCグローバル・スクール。GARDEN Journalismでお馴染みのマリオネット作家・オレンジパフェさんが寄贈してくれたチョコリオくんと、スクール代表の田中宝紀が語りました。

 

左からオレンジパフェさん、チョコリオ、田中、ジャーナリスト・堀潤さん(2018年1月撮影)

 

 

  チョコリオ

日本語教育が必要な子どもが増えてるって聞いたよ!

 

  いき

文部科学省の2016年度の調査では、全国の公立小中高校などに43,947人。2008年と比べて1.7倍に増えたんだ。

 

日本語教育は外国人の問題と思われがちだけど、この数字には日本国籍の子どもが9,612人含まれているよ。海外で育ったなどの理由で、日本語力が充分でない場合もあるからね。反対に、両親が外国出身で、子どもは日本生まれ、日本育ちということもある。

 

「日本人」「外国人」と単純に分けがちだけど、実際には国籍、ことば、文化などさまざまな要素があるし、2つ以上のルーツを持つ人たちも増えているよ。

 

 

  チョコリオ

日本にもすでに多様な人たちが暮らしてるんだね。

「日本語教育が必要」って、誰がどう決めてるの?

 

  いき

実は、さっきの調査でも定義はあいまい。

学校の先生たちが独自に判断していたり、自治体で決められた支援時間が終わったら「日本語教育はもう必要ない」とされたりすることもある。実際には、日本語で困っている子どもはもっといそうだね。

 

来日したばかりでまったく日本語がわからない…という子どもに支援が必要なのはわかりやすいよね。でも、会話がかなりできるようになったり、小さな頃から日本で育って日本語に問題がなさそうに見えたりしても、実は学校の勉強に苦労している子どもも多いんだ。

 

日常会話が1〜2年である程度できるようになっても、学校の勉強や深い思考に必要な「学習言語」を獲得するには5年~7年かかると言われている。

その間にも学校の勉強はどんどん先に進むから、いろんな教科がわからないまま取り残されてしまうよね。

先生や親、同級生からもなかなか理解されず、「それだけ話せればもう大丈夫」、「勉強ができないのは努力不足」と思われがちだよ。

 

この約4万4千人のうち、1万人以上は学校で何の支援も受けられていない。

外国人住民が少ない自治体や、日本語がわからない子どもがごく少数の学校では、支援する人材や予算の確保が難しいといった事情がある。

 

 

  チョコリオ

うう、大変…。子どもたちはどんな経緯があって来日したのかな?

 

  いき

それぞれの家庭で事情は異なるよ。

親が先に来日して、日本での生活が安定したタイミングとか、子どもの小学校卒業などの節目で日本に呼び寄せられる子どもが多いね。

 

私たちのスクールだと、親はレストランの調理師や経営者として来日したり、日系人としてどんな仕事にも就ける在留資格を持っていたり、日本人と結婚していたり。

留学生や技能実習生だった人が、帰国後に現地の日系企業などの社員になって、家族連れで再来日することも増えているみたい。

 

 

  チョコリオ

そういう子どもたちが1万人以上も支援されてないのかあ…。

逆に言えば、残りの3万3千人は支援を受けてるんだよね?

 

  いき

う〜ん、国で統一された基準がなくて、「支援を受けている」といっても中身は学校や自治体によってバラバラなんだ。

たとえば、ある自治体では支援時間が年間200時間程度。一方で、来日直後のわずか6〜7時間しか支援できないという地域もあって、格差が大きい。

 

支援が充実している自治体だと、地域や学校に日本語学級が常設されていて、日本語だけを集中的に数ヶ月間学べる。まず日本語をある程度習得して、学校生活に慣れてから通常学級に通い始める仕組みができているんだ。

 

でも他の地域では、数時間だけ通訳をつけて終わりとか、日本語を教えた経験がない人が手探りでサポートしているような学校もある。

「支援がある」とされていても、適切な量や質の日本語教育を受けられているか?は疑問だね。

 

 

( <【イチからわかる!】「日本語教育が必要な子ども」って?(後編)> に続きます)

 

 

 

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