人材育成労働環境

(日本語) 無業を経験する若者、年間180万人

若年無業者数の推移-H30は71万人

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私たち育て上げネットでは、若者の問題を個人的問題に帰結せず、社会全体で解決すべきであるという認識を広め、セクターを超えた課題解決のための担い手を増やすことを目指しています(若者支援の「生態系創出」と呼んでいます)。

その一環として、「育て上げリサーチ」では、若者の現状や若者就労支援について、データに基づく情報を広く一般に届けることで、より多くの人に若者の問題やその支援について関心を持って頂きたいと考えています。そのため、普段若者の支援に関わる方のみならず、「広く社会課題に関心がある」「若者を取り巻く環境を知りたい」といった市民・企業・行政・大学等研究者の方々も読者として想定しています。


最新の若年無業者数は、71万人(H30速報)

2019年2月1日に「労働力調査(基本集計) 平成30年(2018年)平均(速報)結果」が発表された。若年無業者数は、一般に本調査の「①15歳~39歳の、②非労働力人口(就業者、完全失業者以外の者)のうち、家事も通学もしていない者」として定義される。注意が必要なのは、完全失業者を含んでいない点で、つまり求職活動をしている人はここでいう若年無業者数に含まれない。

その定義に基づいて算出される若年無業者数の推移は以下の通りである。2018年の若年無業者数は、71万人で、2017年から2018年にかけては、ほぼ横ばいであった。

なお、集計は以下の表をもとに算出した。労働力調査基本集計 第I-2表「就業状態・従業上の地位・雇用形態(非農林業雇用者については従業者規模)・雇用契約期間・主な活動状態・農林業・非農林業・世帯の種類・世帯の家族類型,年齢階級別15歳以上人口」


「71万人」は、ある時点での人数

この71万人という数値は、分かりやすく言えば、2018年12月31日時点での若年無業者数とイメージしてもらえばいい(※1)。例えて言えば、無業の状態で年を越した若者が71万人いたということだ。

もう少し考えると、当然その若者も、進路未決定のまま学校を中退・卒業したり、病気やけがで退職したり、どこかで「無業」になったタイミングがあったはずだ。同様に、学校に通い始めたり、就職したりして「無業」でなくなった若者もいたはずだ。

「71万人」という数は、ある瞬間の若年無業者の存在について示してはいるが、2018年を通してどの程度無業になる若者がいて、無業ではなくなる若者がいるかについては、何も語ってくれない。

※1 厳密には、2018年中の各月末時点での若年無業者数の平均値である。労働力調査は各月末1週間の状態を調査しており、月ごとに結果が公表されている。「労働力調査(基本集計) 平成30年(2018年)平均(速報)結果」はその各月の結果の平均を計算したものである。


「無業を経験した人数」を労働力調査で推計してみた

では、「2018年を通してどの程度無業になる若者がいて、無業ではなくなる若者がいるか」を知るにはどうしたらよいか。労働力調査では、同じ世帯員に対して2か月続けて同じ調査を行っており、前月と今月で状態がどう変わったかというデータも取っている。つまり、ある月に無業だった人が、翌月に引き続き無業なのか、就業したのか、通学を始めたのか、等が分かる。このデータを使用して、「無業を経験した若者」について調査してみた。

なお、今回は、労働力調査基本集計「第I-7表今月及び前月の就業状態・農林業・非農林業・従業上の地位・雇用形態(非農林業雇用者については従業者規模),年齢階級別15歳以上人口」を使用して分析を試みた。


1ヶ月間に「無業になる」若者は11万人!

上記の表(※2)は、テクニカルな見方を要して一見読み取りが難しいのだが、要約すると以下の図の通りである。

※2 本表は15歳~34歳という年齢階級で作成されているため、前述の若年無業者の定義(15歳~39歳)と一致しない。15歳~34歳の若年無業者は前述のグラフから計算すれば分かる通り、53万人である。

1ヶ月で11万人の若者が新たに無業者になり、同時に11万人の若者が無業を脱している。11万人の内訳は元の表を見れば分かるが、就業、失業(=求職活動中)、家事、通学が概ね同程度だ。(なお、労働力調査の対象となった地区・世帯への転入者については、前月の就業状態等は調査上不明であるため、4万人が新たに無業になったのか、無業を継続したまま転出入したのかは判断がつかない。)

1ヶ月で11万人ということは、12ヶ月で、132万人である(※3)。

この人数は、2018年末時点での数(=53万人)の約2.5倍。これを15歳~39歳で推計すると、71万人×2.5=約180万人が2018年中に無業になっていることになる。

※3 同じ人が同年内に<無業⇒非無業>を繰り返すことも十分考えられるが、ここでは単純化して計算している。


2018年中に若年無業を経験している人は、実は180万人いる

2018年末時点での若年無業者は71万人。しかし、2018年の1年間にはおよそ180万人の若者が無業を経験している。「71万人」という数に対して、無業を経験している「180万人」は、意外に意識されないのではないか。71万人を指して、同年齢帯の人口比2.1%程度だということは、毎年内閣府から刊行されている『子供・若者白書』でも語られるが、無業を経験した人数についての言及はない。

もちろん180万人の中には、転職の合間の「息抜き」や「自分探し」のための無業であって、特段困っていないというケースも含まれるだろう。

しかし、無業は長期化すればするほど、就労までの道のりが困難になることが知られている。その意味ではこの180万人は無業が長期化して社会から孤立していくリスクを大なり小なり抱えている。

また、若者就労支援の現場では、就職まではすんなり出来ても、しばらくすると仕事を辞めてまた支援現場に現れる若者にも出会う。支援現場に来られるならまだいいが、「なぜか仕事が続かない、うまくいかない」という思いを抱き続けながら、無業と就業を繰り返し、疲弊している若者もきっといることだろう。

短いサイクルで無業・就業を繰り返す若者がいないか、何に困っているのか、長期化のリスクはどれくらいなのか、一方、「180万人」には含まれずに1年以上の長期間無業状態にある人はどれくらいなのか、その内情を更に明らかにしていくことは、現状の公的統計の分析では限界がある。

そういった疑問に対しては、支援現場で蓄積されたデータ(育て上げネットでは、年間新規に2,000人ほどの無業の若者を支援している)を分析しながら、今後可能な限り明らかにしていきたいと考えている。

(執筆:育て上げリサーチ)

http://www.sodateage.net/researches/

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