2019年4月現在、「平成」も終わりが見え、新元号である「令和」を迎えますね。
新しい元号制定に伴い、新元号にちなんだ名前を授かる子どもも少なくないでしょう。日本の医療・社会保障・安全は世界屈指であり、すくすく次世代が育つことを願っています。
その一方、世界ではどうでしょうか。
少なく見積もっても、現在25万人もの少年・少女が ❝替えの利く消耗品❞ として戦場に立っています。
東アフリカ・ウガンダのある少年は16歳にして、母親の腕を切り落としました。この国で何が起こっているのでしょう。
■生まれ育った村を銃で襲う。チャールズ君(16歳)の悲惨な体験
ウガンダ共和国グル県に住む、チャールズ君(仮名)は当時16歳。
隣村まで歩いて出かけたのが、悲劇の始まりでした。
“僕はお母さんの帰りが待ちきれず、隣村に迎えに行きました。
その途中で、銃を持った兵士たちに囲まれ、
反政府軍の部隊に連れて行かれたんです。”
ウガンダでは、1980年代後半から内戦が勃発していました。「神の抵抗軍」という武装勢力は、10歳そこそこの子どもたちを誘拐して、暴力などによって洗脳。銃を手にとらせ、戦場へと送り出していたのです。
誘拐された数日後、チャールズ君は生まれ育った村に連れて行かれます。そして、村を襲撃する作戦に参加させられたのです。
大人の兵士たちは、チャールズ君を村まで連れてくると、彼のお母さんを前に命令しました。
「この女を殺せ!」そう言いながら、銃の先で彼女をこづきました。
“ 怖くて怖くて仕方がありませんでした。
もちろん、「そんなことできない」と言いました。
そうすると、今度は剣を持たされ、
「それなら、片腕を切り落とせ。
そうしなければお前も、この女も殺す。」
と言われました。
僕はお母さんが大好きでした。
恐ろしくて手が震え、頭の中が真っ白になりました ”
とにかく、お母さんも僕も、命だけは助けてほしい…。
チャールズ君は、手渡された剣を、お母さんの腕に何度もふりおろしました。
■戦場で、子どもが「使い捨て」にされている現実
チャールズ君のような子ども兵は、ウガンダだけでなく、アジアやアフリカ、中東・中南米などにもいます。
世界中で少なくとも、25万人以上存在すると言われています。
誘拐された男の子は、武器や食料など重い荷物を運び、さらには銃をとらされます。
地雷除去装置代わりに地雷原を歩かされたり、“弾よけ”として最前列で行進させられたりする場合も。
ドラッグで恐怖心を失くし、敵に突撃させられる部隊もいます。
“ 子どもは洗脳できるから、言うことを聞かせやすい ”
“ 村を襲えば調達できるから、いくらでも替えがきく ”
大人の都合によって、子どもたちがまるで「消耗品」のように、使い捨てにされているのです。
女の子は、兵士と強制的に結婚させられたり、性的な虐待をされたりといった被害にも。
望まない妊娠によって、子どもを抱え途方に暮れる元少女兵もいます。
マーガレット(仮名)は15歳の頃に誘拐され、7年間ものあいだ反政府軍に拘束されました。さらには、自分の父親と同じぐらいの兵士と強制結婚をさせられたといいます。その後、HIV/AIDSウィルスに感染。
また、元子ども兵であったことから、22歳の頃に村へ帰還したあと、多くの地域住民から差別や偏見を受け、さらなる精神的な傷を負ってしまいました。
私たちが初めてウガンダへ訪れたとき、先ほどのチャールズ君は、反政府軍から救出された直後。その2週間前に、お母さんに再会できたそうです。
あの事件のあと、お母さんは気を失ったものの、一命は取り止めていました。
片腕を失ったお母さんは、やせ細っていて元気がありませんでした。それでも、再会できたチャールズ君に優しく問いかけてくれたといいます。
「軍隊の中で、つらいことはなかった?」
「大変だったね」「苦しかったね」
遠い目をしながら、チャールズ君は振り返ります。
“ でも、お母さんは、もう子どもの頃のように
僕を愛してくれることはない。
分かってるんだ。だって、僕はお母さんを
傷つけてしまったのだから…”
■レアメタルをめぐる紛争も原因!日本人も“無関係ではなかった”
このような残酷な子ども兵の問題は、なぜ生まれたのでしょうか?
私たちの豊かな暮らしと、決して無関係ではないと分かってきました。
たとえば、携帯電話やパソコンに利用される「タンタル」という金属(レアメタル)。
これらの鉱物資源をめぐってコンゴ民主共和国東部での紛争が激化。
そこに子どもたちが兵士として戦場に送り込まれるのです。
これらの国で採れる資源は、誰が使っているのでしょう?
私たち日本人も、「紛争の当事者」と言えるのです。
■「戦争を作り出している…」勇気を出して認め、見えたこと
「子ども兵を助けたい」
そんな思いで、アフリカの土を踏みましたが、
まるで頭を殴られたような気分になりました。
「紛争の原因をつくっているのは、僕らなんだ。」
彼らの生活を、片足で踏みつけながら、
もう一方の足で支援の手を差し伸べようとしている。
「偽善なんだな…」、そう感じることもありました。
ですが、「戦争を作り出している」という事実は、
見方を変えれば、「問題を変えられる」という側に、
私たちが立っているとも言えます。
勇気を出して認めることで、
私たちができることが見えてきました。
そこで、私たちテラ・ルネッサンスは、2005年から
ウガンダでの元子ども兵の社会復帰支援をスタートしました。
紛争で傷ついた元子ども兵が、
もう一度“自分を生きられる”よう、
私たちは元子ども兵の自尊心の回復をサポートを開始。
手に職をつけ自らの力で収入を得られるようになるための
支援を行ってきました。
支援に依存しない、自立のための支援です。
具体的には以下3つの活動を行っています。
①心のケア
個人とグループのそれぞれでカウンセリングを実施。
音楽や伝統ダンスなど、精神的な安定を図る取り組みも行っています。
②基礎教育
日常生活に必要な、識字・算数・英語の授業を実施し、
その他に基本的な健康管理についても学びます。
③職業訓練
ビジネスの基礎的な知識を学び、洋裁、手工芸、服飾デザイン、
木工大工などの職業訓練を実施しています。
支援の成果によって、たくさんの笑顔を取り戻してきました。
私たちは、日本の皆様からのご支援によって、子ども兵をはじめ、紛争被害にあった方や、最貧困層の人々に対して、約3,000名以上の人々へ支援を届けてきました。
なかでも、ウガンダの場合においては、以下のような成果を出すことができました。
■月1,000円から! 活動を応援できるファンクラブ会員
上記のように、一人ひとりの自立を支えるためには、長期的な支援が必要です。
月1,000円から活動を応援できるファンクラブ会員という支援の方法をご用意しています。
現在1,400人以上の皆さんが、現在ファンクラブとして応援してくださっています。以下、支援して頂いている2人の方々を紹介します。
①“微力でも、支援したい” 吉岡 由紀 さま
鬼丸さんの話を聞いて、携帯電話のレアメタルが、
コンゴの紛争に悪影響を与えていることを知りました。
日々の暮らしのなかで、便利を享受している私にも
責任があると感じ、「微力でも、支援したい」という想いから
ファンクラブ会員になりました。
いつか、私が経営しているカフェでも、
ミニ講演会などを開催したいと思っています。
②“ひとり一人に未来をつくる力がある” 江藤 ちふみ さま
講演会で聞いた「ひとり一人に未来をつくる力がある」
というメッセージがとても魅力的で、
「自分も一歩踏み出そう」という想いから、支援をはじめました。
自分の支援が役に立っていると思うと嬉しいですし、
元子ども兵の自立にむけた変化や、
スタッフの頑張っている様子を見たりすることで、
自分も頑張ろうという気持ちになります。
■自立支援を受けた元子ども兵からのメッセージ
“誰かに必要とされる喜び、生きる誇りを取り戻せました”
クリスティーン(仮)
私が誘拐されたのは11歳の頃のことです。
そこから10年間ものあいだ、
子ども兵士として戦いに駆り出されました。
軍隊から解放され、ようやく故郷の村に戻れたのですが、
そこで待っていたのは周囲の人々からの、
差別や偏見のまなざしでした。
元子ども兵だった私を、
誰も受け入れてくれなかったのです。
状況は苛烈でしたが、日本の皆さんからのご支援によって、
私はテラ・ルネッサンスの自立支援を受けることができ、
洋裁の技術を身につけることができました。
洋裁の技術を身につけ、村の人たちは洋服の仕事を
依頼してくれるようになりました。
仕事を通じて収入を得られるようになり、
誰かに必要とされる喜びを取り戻せたのです。
ご支援をいただいた日本の人たちのことは一生忘れません。
私の人生を支えてくれて、ありがとうございます。
■ひとりのチカラは、微力ですが無力ではありません
もうダメかもしれない…。
17年以上にわたり活動を続ける中で、
何度も諦めかけた事がありました。
そのたびに、元子供兵たちが見せてくれる
「自分の未来をつくるんだ」という変化の姿や、
日本から応援して下さる方々のおかげで、乗り越えてきました。
世界平和を実現する。
壮大な目標のために、政府や大企業とも渡り合っていく。
その為には、私たちだけの力では足りません。
たくさんの仲間に活動を応援してもらい、
一人一人の想いを届けていきたい。
私たちが信じるのは、
「ひとり一人に未来をつける力がある」ということ。
一人の力は微力ですが、決して無力ではありません。
どうかあなたも、ファンクラブ会員として、
私たちと一緒に活動してください。
あなたのご支援を、心よりお待ちしています。」