国際協力女性子ども戦争貧困難民

「今の自分にできること…」1,000人以上が参加した国際NGOのイベントに迫る

2019年5月、新元号“令和”とともに新しい時代が始まります。

 

遡ること江戸時代の末期から、明治・大正・昭和と、近代日本の歴史は戦争と隣あわせでした。しかし、平成だけは、従来と違った場所に立っていたかのように思えます。

 

ただ、世界ではどうでしょうか。

 

平成がはじまって間もなく冷戦が終結し、これを契機に世界は戦争の恐怖から解放されると誰もが思いましたが、それは甘すぎる考えでした。1990年代に入っても、人々は暴力紛争の惨禍に見舞われたためです。

 

例えば、カンボジアの場合。1989年に和平合意が設立されても、人々は未だに“悪魔の兵器”として知られる地雷の影響を受けています。地雷の推定残存数、およそ600万個ーー。

 

四肢を損傷させることを目的とした地雷は、その被害にあった方々のその後の人生に大きな爪痕を残しました。地雷被害にあった方々は、今なおその影響から貧困や生活困窮に苦しんでいます。

 

さらに、中部アフリカ・コンゴ民主共和国(以下、コンゴと表記)の場合。

 

1990年半ばから紛争が勃発し、少なくとも600万人がその犠牲になりました。今もなお、およそ40 -140の武装勢力が活動しており、とりわけ女性については性的暴力の被害が甚大な状況で(その被害規模は、なんと1時間に48人!)、人間としての尊厳を奪われ続けています。

 

 

こうした世界の真実に、私たちは背を向けることができるのでしょうか?

 

たとえ背を向けたとしても、グローバル化の波に覆われた21世紀に生きている限り、日本に暮らす私たちと、それらの世界の現状は無関係ではありません。

 


■世界の真実を知り、自分にできる一歩を踏み出すために

 

例えば、あなたが今持っているスマホやパソコンなど、おおよそすべての電子機器。

 

これらに使用されている「タンタル」をはじめとしたレアメタル。程度の大小はあれども、莫大な天然資源が存在するコンゴにて、これらの鉱物資源をめぐって紛争が激化しました。

 

わたしたちが使用する電子機器の需要を満たすため、コンゴの武装勢力は、略奪・集団虐殺・集団強姦などの手段を通してコミュニティを支配下に置き、紛争鉱物の採掘における利権争いの渦中に存在しているのです。

 


■ 地雷や子ども兵問題の解決に取り組む、日本のNGO

 

認定NPO法人テラ・ルネッサンスは、こうした世界の諸課題を解決と、紛争被害にあった人々の自立支援を実践。2019年で、団体設立から18年を迎えました。

 

『地雷』『子ども兵』『小型武器』という問題に加え、日本国内における『平和教育』にも取り組み、支援現場における問題解決と、日本からの紛争予防の両輪で活動しています。

 

そんなテラ・ルネッサンスは、毎月第2水曜日・東京都内にて、活動内容を知ることのできる講演イベントを開催。創設者の鬼丸昌也が、団体設立の経緯から、これまでの支援活動についてお話ししています。

 

これまでの開催回数は70回にのぼり、のべ参加者数は1,000人以上と、多くの方にご好評いただいています。

 

 


■「地雷問題に対して、今の自分に、何ができるだろう」

 

認定NPO法人テラ・ルネッサンス 創設者・理事 鬼丸昌也

 

テラ・ルネッサンスが設立されたのは2001年10月。大学4年生の頃にカンボジアを訪れた鬼丸は、地雷被害の悲惨さを知り「今の自分に、何ができるのだろう?」と考えます。これが、テラ・ルネッサンス設立のきっかけになりました。

 

「地雷除去の知識や体験があるわけでもない。」

「地雷除去に寄付ができるほどのお金持ちでもない。」

「活動を始めるために支援をしてくれる人脈もない。」

 

カンボジアから帰国した鬼丸は、何度も「今の自分に、何ができるのだろう?」と自らに問いかけます。そして、あることに気づくのです。

 

この目で見てきたこと、感じてきたことを、

日本の人々に伝えることがだったら、今の僕にでもできる!

 

そう思い立ち、最初にはじめたのが講演活動でした。地雷についての講演は、多くの人の関心を得ることができ、たちまち口コミによってその評判が広がります。その後、招かれるまま全国各地で講演を続けていくうちに、

 

「テラ・ルネッサンスを支援をしたい。」

「一緒に、活動をしたい。」

「自分にも、何かできることはないか?」

 

そんな言葉をかけてくださる方々が、少しずつ増えていきました。たくさんの方々のご支援に支えられ、テラ・ルネッサンスは、当初の地雷除去支援だけではなく、アフリカの元子ども兵の社会復帰支援と、活動の幅を広げていきます。

 


■アフリカ・コンゴ民主共和国における支援活動

 

コンゴ民主共和国のカサイ地域では、2017年以降も100万人を超える人々(主に子どもと女性)が紛争の影響で避難生活を強いられています。

 

こうした状況を鑑みて、テラ・ルネッサンスはこれまでの支援にくわえ、2018年から国連開発計画(UNDP)と協力しながら、カサイ地域での紛争被害を受けた女性たちへの支援を行なってきました。

 

対象の女性たち(280名)は、ほぼ全員、2017年の紛争で、夫や家族を失っています。そのうえ、その多くは仕事もなく、衣食住を満たすことさえもできない状況でした。ですが、オーダーメイド型の自立支援により、状況は好転しつつあります。

 

技術訓練を受けた女性たちは、現在、石鹸やパイナップルジュースの生産・販売を開始。2019年3月からの2ヶ月間で、その売り上げ利益は約4,500ドルにものぼりました。一日に平均40円程度で生活していた女性たちですが、自らの力によってとんでもない金額の売り上げ利益を生み出すことができたのです。

 


■Webだけでは知れない真実に出会える

 

上記の取り組みは、テラ・ルネッサンスが行っている活動のほんの一部でしかありません。コンゴ民主共和国だけでなく、世界各国で“自立”に焦点を当てた支援活動を展開しています。

 

毎月第2水曜に開催される本イベントでは、『子ども兵』や『地雷』、『小型武器』といった課題についてだけではなく、創設から現在に至るまでの団体の軌跡について、創設者・鬼丸昌也が、直接お話をさせていただきます。

 

また、イベントでは講演のあとに交流会を開催。講師の鬼丸をはじめ、それら社会課題について同じように関心を寄せる参加者のみなさん同士で交流いただくことができます。

 

■こんな方におすすめ

 

・アジアやアフリカの社会課題に関心がある方

・支援の方法を探している方

・アジアやアフリカに関して興味がある方

・ソーシャルビジネスの興味がある方

・自分にできる社会貢献を探している方

 

■イベントに参加してくださった方々の感想

 

・自分に何ができるのか改めて考えさせられました。(50代/男性)

・今自分が悩んでいる事にビビッときました。(40代/女性)

・事実に目を向ける事の大切さを実感する内容でした。(20代/女性)

 

■ プロフィール

◎ 鬼丸昌也(認定NPO法人テラ・ルネッサンス 創設者・理事・事務局長)
1979年、福岡県生まれ。立命館大学法学部卒。高校在学中にアリヤラトネ博士(サルボダヤ運動創始者/スリランカ)と出逢い、『すべての人に未来をつくりだす能力がある』と教えられる。2001年、初めてカンボジアを訪れ、地雷被害の現状を知り、「すべての活動はまず『伝える』ことから」と講演活動を始める。同年10月、大学在学中に「全ての生命が安心して生活できる社会の実現」をめざす「テラ・ルネッサンス」設立。2002年、(社)日本青年会議所人間力大賞受賞。地雷、子ども兵や平和問題を伝える講演活動は、学校、企業、行政などで年100回以上。遠い国の話を身近に感じさせ、一人ひとりに未来をつくる能力があると訴えかける講演に共感が広がっている。

 

◎ 主な書籍
『ぼくは13 歳 職業、兵士』 合同出版 2005年
『こうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出した』 こう書房 2008年
『僕が学んだゼロから始める世界の変え方』 扶桑社 2014年
『平和をつくるを仕事にする』 筑摩書房 2018年

 

◎ 主な講演実績
人事院、総務省、茨城県庁、長野県庁、沖縄県庁、熊本県庁、佐賀県庁、新潟県庁、熊本市役所、松本市役所などの官庁、TBSテレビ、オムロン㈱、西日本旅客鉄道㈱、日本IBM㈱、リンガーハット㈱、㈱京都新聞社、伊那食品工業㈱、川越胃腸病院、(独法)国際協力機構、日本郵政グループ労働組合、倫理研究所、モラロジー研究所、各地の青年会議所、ロータリークラブ、ライオンズクラブ、小・中・高等学校、大学、NPO など多数

 

 

特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス

特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス

すべての生命が安心して生活できる 社会(世界平和)を目指して 団体名称のテラはラテン語で「地球」、ルネッサンスは英語で「再生、復興」という意味があり、テラ・...

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