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(日本語) 【子ども支援】全国の子どもの近くに優しい市民を増やしたい

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https://youtu.be/iDX3olWz-iY

あなたは「困りごとを相談できる人」を思い浮かべることはできますか?

統制労働省によると、2015年時点で日本の子どもの相対的貧困率は13.9%(※1)。約7人に1人が経済的に困難な状況にあるとされています。また、2017年に全国210の児童相談所が児童虐待として対応した件数が速報値で13万3778件となり、年々その数は増え続けています(※2)。

そんな中、孤立した子どもたちに寄り添い活動を続けている「認定NPO法人PIECES」が活動を全国展開させようと、クラウドファンディング(2019年5月31日まで支援募集中:https://a-port.asahi.com/projects/PIECES_2019/)で支援を募っています。

全国展開の第一弾の活動地となるのは、茨城県水戸市。2019年6月から水戸市でスタートする人材育成プログラムに向けて、5月15日、茨城大学にて説明会が開催されました。

(※1)平成28年国民生活基礎調査の概要、厚生労働省
(※2)平成29年度児童相談所での児童虐待相談対応件数、厚生労働省


■専門家ではなく、市民だからできること

「認定NPO法人PIECES」は、貧困や虐待などの課題を抱える子どもや家庭の支援を続けてきました。医療・福祉などの専門知と実践知を蓄積し、行政や企業向けのコンサルティング・研修等も行っています。子ども支援と研修などの人づくりから、多様な子どもたちを包括していく社会づくりを目的としています。

メインになるのは、「子どもと寄り添う優しい大人」を育成すること。専門家ではなく、「家族でもなく学校の先生でもないけれど、自分に関心を寄せて理解してくれる大人」を地域に増やしていくことが目的です。「子どもと寄り添う優しい大人」を「コミュニティユースワーカー」と名付け、2016年から東京を中心に育成プログラムを展開してきました。1期生から4期生まで、育成してきた「コミュニティユースワーカー」は50人にも上ります。

PIECES代表の小澤いぶきさんは、「子どもたちの日常に『一緒に日常の安心や楽しさを紡いでくれる人』がたくさんいたらいいなと思っていて。『子どもの興味に目を向けて日常を紡いでいく人』と、『それでもなお起こるかもしれない緊急性や疾病性の予防や治療をしていく人』。その役割分担が『コミュニティユースワーカー』と『専門家』の違い」と説明します。

これまで「コミュニティユースワーカー」が作り上げてきたプロジェクトは、プログラミング教室やスポーツ大会、10代のシングルマザーへの支援や不登校の子の家庭訪問など、多岐に渡ります。子どもたち自身の「やりたいこと」や「困りごと」をプロジェクト化することで、子どもたちはそこで「役割」や「安心感」、「居場所」を持つことができているのです。

半年間の研修で学ぶ「コミュにティユースワーカー」©︎認定NPO法人PIECES

■「孤独を感じる」3割の子どもたちに「優しいつながり」を

小澤さんは、「子どもたちが孤立の中で生き続け社会のことを信頼できなくなる明日よりも、子どもたちの周りに人の想像力から生まれる優しいつながりが溢れる未来を創りたい」と願い、PIECESを立ち上げました。その願いの背景には、自身の児童精神科医として仕事をしてきた経験がありました。

「私自身、児童精神科医として医療の中にいる中で、『人と人との繋がり』って実は当たり前じゃないんだという現実に出会ってきました。例えば、虐待を受けた子もいれば、発達の特性があり環境に合わず学校に行けなくなった子も。いろんな背景を持つ子どもがいる中で、頼れる人や理解しようとしてくれる人がいない中、誰にもケアされずに深い傷を負った子に出会うことがありました。もっと早くに周りに誰かがいたら、もしかしたらここまで1人でしんどさを抱えなくてよかったのではないかと」。

認定NPO法人代表・小澤いぶきさん

東京都が2017年に発表した調査によると、「孤独を感じる」と答えた子どもは、小学5年生は31.7%、中学2年生は31.3%、16〜17 歳では37.0%にも及んでいます(※3)。

「安心して頼れる関係なのかどうかって、目には見えない。だからこそ、孤立は分かりづらい。隣に人がいても孤立することはあります。例えば、家に人がいても、学校に行っていても、もしかしたらその関係が安心できなくて、頼ることが難しくて、孤立しているということはあるのではないかなと思っています。身近に安心して関われる人がいたりとか、安心して頼り会えたり相談し合えたり、そういう人たちがいる中で、子どもたちは『自分の悩みを出していいんだな』、『チャレンジしていいんだな』、『将来って希望を持っていいものなのかもしれないな』と思いながら、どんどん成長していくのです。」

「子ども・若者の孤立を防ぐ市民支援者育成プログラム IN 水戸」説明会で「子どもの孤立」について説明する認定NPO法人代表・小澤いぶきさん

(※3)東京都子供の生活実態調査報告書 【小中高校生等調査】、平成29年3月、首都大学東京 子ども・若者貧困研究センター


■「地域の主体性を大切に」 水戸市でのプログラムをスタート

これまでは首都圏を中心とした活動にとどまっていましたが、「全国津々浦々で、子どもの近くに優しい市民を増やしていきたい」と全国展開を決めたPIECES。第一弾となる茨城県水戸市での「子どもと寄り添う優しい大人」育成プログラムは、「NPO法人セカンドリーグ茨城」と共催で実施します。

セカンドリーグ茨城の理事長・横須賀聡子さんは、PIECESの取り組みに共感し、協働していくことを決めたと言います。

「(PIECESは、)専門家が何かをするとか、専門系な知識をつけて子どもを支援するというアプローチではない。『子どもを信じる』というところからスタートしているところがいいなと思いました。コミュニティが小さければ小さいほど『支援』を受けにくいという状況がある。『あそこの家、大変なんだ』と言われるのは嫌だから。『支援』という『支援』ではなく、一緒に何かをするとか、ただ一緒にいてくれるとか、困った時に話を聞いてくれるとか、そういう人が街中にあふれていれば解決できるものがあるんじゃないかなと思っていて。専門家がどれほど夜も寝ずに対応しても間に合わない。予防的な小さな力が集まるってことはすごく大事なんじゃないかなと思います」。

「NPO法人セカンドリーグ茨城」理事長・横須賀聡子さん

全国展開するにあたって、「地域の主体性を大切にプログラムを作っていきたい」と小澤さんは考えています。

「水戸は、地域や行政の方たちと丁寧に関係を作ってきたキーとなる団体があるというのが大きかったです。各地域の文化を大事にして、自律分散的に地域の市民の方達が主体となって子どもたちに関わっていける土壌を作っていきたいと考えています」と小澤さん。

横須賀さんは、PIECESの実績のあるプログラムを取り入れつつ、地域のニーズや状況に合わせて自分たちでプログラムを作っていける点に期待しています。

「地域によって必要としているものやできることが違う。例えば、(東京と比べて)子どもたちに対して細かい場をたくさん開けていくというだけのマンパワーはない。そうすると、東京みたいに拠点を1個作るのではなく、子どもが集まれるところに出かけて行ける人を増やすということが、地方だったら合理的かなと。それで子どもにちゃんと出会えるし向き合えるかなと感じています。(PIECESとの協働では、)そういうことを視野に入れて、地方で何ができるのかという視点でプログラムを作っていける。それは、今回安心して協力できたポイントでした」


■「一人ひとりが子どもの環境を作っている人」

水戸市で始まる、2019年6月からの半年間の「子どもと寄り添う優しい大人」育成プログラムの中では、ゼミ形式で心理学・医学・教育学・社会福祉など様々な分野を横断的に学ぶとともに、実際に子どもと関わる現場実践も行い、子どもに寄り添い関わっていくために必要な知識や力を身につけていきます。

説明会に参加した茨城大学2年の三輪初音さんは、「将来警察官になりたくて、子どもに関することができたらいいなと思っているので、話を聞いてみようかなと思いました。親のいない子どもとか、学校に行けていない子どもたちの力になりたいなと思っています」と話します。

また、茨城県鹿嶋市在住の真家知子さんは、「私も子供が2人いるのですが、小学校でも『大丈夫かな』というお子さんを目にします。昔、幼児教育に携わっていたこともあり、地元でこういった活動があるのであれば、人生の折り返し地点で社会問題に貢献できたらなと思いました」と話してくれました。

「子ども・若者の孤立を防ぐ市民支援者育成プログラム IN 水戸」説明会でスタッフと話す参加者

「一人ひとりが子どもの環境を作っている人だからこそ、直接的にでも間接的にでも小さくても、みんなできることがある。専門家だけではなく、市民一人ひとりが子どもたちの周りに優しい間を生み出すことで、社会が寛容に変化していくということを伝えていけたらいいなと思っています」と小澤さん。

「子どもと寄り添う優しい大人」育成プログラムは、今後、関西や九州などでも展開していく予定です。人と人との優しいつながりが全国に広がり、子どもたちが「困りごとを相談できる人」を見つけて安心して頼れる社会を目指し、PIECESの挑戦は続いていきます。

©︎認定NPO法人PIECES
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