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【社会課題解決支援】余命2ヶ月と宣告されたデザイナーと、仲間たちがつくる未来 リディラバが新たなメディアを立ち上げへ

「夢は、とにかく今作っているものを作り続けること。そうやって生を延長する。作れば作るほど自分が作ったものっていうのが残っていくから、とにかく延長すること。ものづくりの人として半生を生きてきたから、最後は『ものづくりの人』として死にたい。」

こう話すのは、広林依子さん。今年6月、医師から余命2ヶ月を宣告されました。乳がんが見つかったのは、今から3年前、26歳の時でした。この時、既に骨に転移しており、がんの中でも最も深刻な、ステージ4という診断でした。デザイナーとしてキャリアを積み上げてきた中での出来事です。

6月下旬、彼女は大学時代からの大切な友人が運営する団体を訪ねました。会いたかったその大切な友人、安部樹さんです。東京大学在学中の2009年に「リディラバ」を設立しました。今から8年前に立ち上がった団体で、社会問題の現場を訪れるスタディツアーなどを実施しています。広林さんには、安部さんのために団体のロゴを夜な夜な制作したという大切な思い出がありました。

リディラバのロゴは、午前7時25分を指し示す、時計の針でデザインされています。これは、1日24時間を「人の寿命」に例えるというアイデアから生まれたもの。午前7時25分は、リディラバが創業された当時学生だった、安部さんを含むメンバーの年齢を示しています。創業当時の初心を忘れずに進んでいくという想いを込めました。

広林さんがロゴを制作する際に最もこだわったというのが、「指針」。安部さんのどのような創業時の「思い」が、そこには刻み込まれているのでしょうか。


■“社会の無関心を打破する” スタディツアーで社会問題を自分ごとに

“社会の無関心を打破する”を理念に掲げ、企画・実施してきたスタディツアー。これまでに取り扱ってきたテーマは200以上にも上ります。貧困や人身取引の現場から、売れ残った弁当などが大量に廃棄される「フードロス」の現場など、普段はなかなか知ることができない社会問題の実態を、身をもって体験することができるツアーの数々です。

神奈川県小田原市の「川田製作所」という町工場で行われたスタディツアー。通信制の高校に通う若者たちが参加しました。

障害者や外国人の雇用、地域への貢献を積極的に進めているこの町工場。参加者の高校生は、副社長の川田俊介さんの話に驚きを見せます。

「ものづくりに対してとても熱意のある方だと感じました。地域に貢献する姿勢、障害者を採用して、得意なところと苦手なところを見つけて、そのことをうまく仕分けていくというところも感動しました。」

安部さんは、マスメディアで報道される社会問題の現場とは異なる、そこで生きる当事者たちの声をもっと丁寧に伝えていきたいと考えています。

「ただの町工場見学ではなくて、(その現場が)社会課題の(全体像の)中でどういう位置付けがあって、未来をどう変えていかなければならないか(を考えてもらいたい)。その為の一つの事例として「(現場では)こんなことしてますよ」と教えてくれている。非常に勉強になりますよね。現場ではこんな風に小さな積み重ねが実際にその問題を一つずつ解決の方向に進めているんだよと。」

リディラバとのスタディツアーをはじめて1年、今回で5回目のツアーとなった川田製作所。川田さんはツアーを重ねる中で、会社や社員の変化を感じているといいます。

「1回目よりも2回目、2回目より3回目というふうに(変化を)実感してきている。改めて『自分たちは何者か』を整理する。それが整理できたことで自分たちの自信に繋がったり、自分たちのモチベーションに繋がったり、将来の希望につながったり。そういったものが芽生えた。そういったじわじわしたものが生まれた。」


■新たな取り組みも リディラバジャーナルで「知る」機会を

リディラバでは、今、こうした社会問題の現場を丁寧に取材し発信する新たなメディア「リディラバジャーナル」を立ち上げるため準備を始めています。

リディラバでは、社会問題解決に向けて立ちはだかる、「3つの壁」があると考えています。それは、「興味が持てない(関心の壁)」、「情報がない(情報の壁)」、そして「関わり方がわからない(現場の壁)」というもの。

スタディーツアーでは、「社会問題に関心はあるが関わり方がわからない」という人たちと社会問題の現場をつなぐ架け橋の役割を担ってきました。今回の「リディラバジャーナル」では、ツアー先での継続的な取材を通しての記事などを含め、社会問題を「知る」きっかけになるような情報を届けます。

先月、クラウドファンディングで資金集めをスタート。2000万円の調達が目標です。開始から1ヶ月で1000万円を超える資金が集まっていますが、より多くの人たちに関わりを持って欲しいと、呼びかけを続けています。


■未来に続く社会インフラ作りを 思いがつなぐ「寿命」

「安部ちゃんがいなくなった後、ロゴだけが残って、ロゴの寿命が1000年、2000年残るといいよね。」

広林さんの言葉に、安部さんはこう答えます。

「(リディラバの寿命は)全然80で終わるつもりはないですね。もっともっと続くための社会インフラを作りたくてやっているし、できるんじゃないかなと思います。俺が想っていたことをちゃんと社員やインターン、スタッフのメンバーが自分の言葉で自分の想いとして話してくれて。こうやって創業の時に思った思い、今も想っている想いっていうのは、俺だけの想いじゃなくなってみんなのものになっていく。そうやって組織は、人の連綿たる想いの中に続いていくんだなと思うと、嬉しい。」

最後に安部さんにこう尋ねてみました。「7時25分に刻んだ思いはなんですか」と。

「見て見ぬ振りというのはあんまりかっこよくないよねというのがあります。社会課題に自分は関わる必要はないけど、でもあなたが関わったら、あるいは俺が関わったら、問題ってちょっと動いて変わっていくかもしれないという時に、そこに関わろうよって思う気概があったらいいなと思っていて。それは人に押し付けても仕方ないので、それが自然と生まれてくるような環境を作るというのを、社会に刻みつけたい。」

若い世代が、社会を変えるために、つながりあい、そして力を出し合い、あらたなチャレンジを続けています。

(取材・記事 GARDEN Journalism編集部 井上香澄)

団体について:
株式会社Ridilover/一般社団法人リディラバ

株式会社Ridilover/一般社団法人リディラバ

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