健康医療教育

【人命救助】生存率5割の攻防 突然死で知人を亡くした女子 自分流でAED普及めざし奮闘中

AEDの普及に向けて、新しい伝え方を追求し活動を続けている大学生がいます。元バイトAKBで、現在は慶應義塾大学で看護学を学ぶ川口真実さんです。

「使おう♡AEDプロジェクト」と名付けられた川口さんの活動。「開けて貼ってスイッチ押すだけ」をキャッチフレーズに、歌とダンスでAEDを発信しています。2016年12月に第一弾として公開されたウェブ動画では、川口さん自身で作詞した歌詞を覚えやすいメロディに乗せて、AEDの使い方を教えています。

動画を公開して約1年。「身近な友人が、今までAEDは医療者しか使っちゃいけないものだと思ってた人たちが、私の動画とかを見て、『誰でも使っていいし、使い方も“開けて貼ってスイッチ押すだけ”なんだね』と言われたりすると、嬉しい。」と、活動への手応えを教えてくれました。


■活動のきっかけは知人の突然死 AEDで悲しむ人を減らしたい

川口さんは高校生の時、知人の突然死を経験しました。「昨日まで元気だった知人が突然亡くなる」というのは初めてのことだったと言います。

「そこから心臓突然死や突然死を調べるようになって。そういうのを防げることができるんだと知ったのが、AEDとの出会い。」と、川口さんは話します。

平成27年に救急搬送された心原性(心臓に原因があるもの)の心肺機能停止症例は7万3,697件。このうち、一般市民により目撃された件数は2万4496件。さらに、目撃された約2万人のうち、一般市民によりAEDが使われた件数は1103件でした。(※1)

「もし2万人に(AEDが)使われたら、それこそものすごく多くの人が助かって、その人自身も嬉しいし、その周りの人たちも嬉しいというか悲しむことが無いんじゃないかな。」と、自分の経験からこう話します。

心臓が止まってから1分ごとに生存率は10%低下。3分以内であれば7割以上の生存率ですが、5分経つと50%に下がってしまいます。しかし、救急車を呼んでから到着まで平均約8.6分。(※2)

「救急車が来ても、もうその時には間に合わない。だから市民が使わないといけない。3分以内に使えるのは救急車じゃなくて周りにいる人だから。」川口さんは、私たち一般市民の行動の重要性を訴えています。

(※1)http://www.fdma.go.jp/html/hakusho/h28/h28/pdf/part2_section5.pdf

(※2)http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph55.html


■暮らす街のAED設置場所を意識して 一方で設置場所や管理法には課題も

1分ごとに生存率が低下していく中で、致傷者を発見してAEDが到着するまでの時間をどれだけ短縮できるかということも、大変重要です。時間がかかってしまった場合、例え病院へ運び込まれて一命を取り留めたとしても、脳への血流がストップしてしまったために重大な後遺症を抱えることになり、社会復帰が難しくなってしまうのです。

「自分が住んでいる街やよく訪れる場所では、AEDがどこに設置されているかということを普段から意識してほしい」と、川口さんは話します。

しかし、川口さんと街を歩くと、AEDの設置場所や管理法に関して様々な課題が見えてきました。川口さんとのAED探し街歩きの中で唯一の頼みだったのは、「日本全国AEDマップ」でした。AEDの所有者や発見した人が持ち寄った情報でマップが完成されています。

▷問題点1、AEDがあるのに、営業していない
AEDがよくある場所として知られる病院やデパート。しかし、時間帯によれば、営業が終了していることも。近年では、地方自治体が主幹となり、24時間営業をしているコンビニエンスストアなどの場所にAEDを設置する取り組みを推進していることもあります。

▷問題点2、AEDがあるのに、使えない
取材中にAED設置場所の一つとして見つけた「ユニオン歯科医院」さん。10年以上前からAEDを設置していると言います。使用したことはないと言いますが、電池の交換は怠っていないと言います。

「電池を変えたり、電極パッドを点検したりした上でAEDのコンディションが保たれる。コンディションが整っているAEDがあることが大事。」と川口さんは話します。

▷問題点3、AEDがあるはずなのに、ない
AEDの設置は任意。AEDを継続して設置しなければならないという決まりはありません。AEDはリース契約で借りることも可能で、AEDマップには掲載されているのに、現在はリース期間が終了して設置されていないということもあり得るのです。


■これからの活動 受けてと同じ立場に立ってわかりやすく伝えていきたい

「こういう場所には主によくAEDがあるよという歌を作ってもいいのかな。交番など、よく設置されていそうな場所をまとめ、まずはそこをチェックすることを伝える歌があってもいいんじゃないかな」と、川口さんは今後のさらなる取り組みについてのアイデアをこう話してくれました。

「発信者と受け手が同じような立ち位置だからこそわかることとかもあるんじゃないかなと思います。」これからも川口さんは自分のできる方法で発信を続けていくと言います。

2004年から一般市民でも使用できるようになったAED。川口さんの歌とダンスで、一人ひとりにとってAEDが身近なものとなり、一つでも多くの命が救われますように。

団体について:
使おう♡AEDプロジェクト

使おう♡AEDプロジェクト

助かる命を少しでも多く助けたい   元バイトAKBで現役女子大生の川口真実が、AED普及の認知向上に向けて発足した「使おう♡AEDプ...