「チャイルドファースト」、これは、子どもへの虐待が深刻化する中、子どもの安全を優先した、「子ども第一の子育て社会」を目指す考え方です。
日本での児童相談所への虐待の相談件数は年間約10万件。一方で、ケアが間に合わず「虐待死」に至ってしまった件数は、年間約100件と報告されています。この中には疑わしいケースは含まれておらず、2016年小児科学会は虐待死の実数は報告のおよそ3~5倍程度であるという推計値を報告しています。
■小児科医の立場から、子ども虐待の「予防」を目指す
医療現場から虐待の問題と向き合ってきた小児科医の小橋孝介さんは2015年、「チャイルドファーストプロジェクト」をスタートさせました。
子ども虐待による社会的コストは1.6兆円と試算されており、子ども虐待にかかわる行政の年間予算の多くが、ケアや養護を中心とした発生してしまった子ども虐待に対する「事後の対応」にさかれている中で、小橋さんが注目したのは、子どもの虐待の「予防」。
小橋さんは、日々小児科医として多くの子どもたちやその親御さんと接しながら、子ども虐待を起こしてしまう人のことを「特別な」「自分とは全然違う」人だと思っている方がとても多いことを実感されているといいます。
しかし、子育てのストレスや孤立した子育て環境の中で、子ども虐待というのは、程度の差こそあれ、実は誰でもしてしまう可能性があることなのです。小橋さんは、まずは子どもを育てる親がストレスを感じない社会をつくることが、虐待の芽をつむこと、まさに「予防」になると考えました。
■コミュニケーションのプロと組んだ、「虐待予防」の動画制作
2015年、小橋さんたちは取り組みの第一弾として、クリエーターや子育て支援NPOの仲間と共に、子ども虐待予防のための動画を制作しました。
「チャイルドファースト」な社会を一般の人々がイメージしやすいようアニメ形式にした動画は、虐待のある「未完成な社会」を、主人公「みかんちゃん」の魔法で子どもに優しい社会に変えていくというストーリーです。そこには目指すべき理想の社会が描かれています。
制作した動画は、SNSなどで拡散するだけでなく、子育て支援NPOや自治体、医療機関などのパパ・ママ向け講習、学校や学会などで、無料で使用してもらい、「チャイルドファースト」の考え方に基づく活動に活用しています。
■新たなチャレンジ!子育てママ・パパ向けの子育て情報ポータルサイト作り
チャイルドファーストプロジェクトでは現在、子育て中のママ・パパにとって「直接生きる」子育て情報にいつでもたどり着けるインフラ作りを進めています。
「求められるのは、今から、そして今まさに子育てをしている親御さんが子育てに関する情報を正しくとらえ、ストレスを感じることがあっても、子育てを前向きに捉えられるようにしていくことだ」、と小橋さんは考えています。
制作を計画しているポータルサイトでは、子どもの専門科(医師、看護師、理学療法士、心理士など)の作成する子育て目線での子育て説明書を掲載したり、ママ・パパが情報や悩み、そしてノウハウを双方向で共有できる仕組みを取り入れたりする予定だといいます。そして、子ども虐待を発生前に予防し、親も子も安心安全に子育てできる地域(まち)づくりを実現したいと考えている専門家や団体とも繋がり会えるプラットフォームにしたいと考えています。
■子ども虐待「予防」チームの一員になってください
このプロジェクトが共感されシェアされて、たくさんの人が「チャイルドファーストチーム」の一員になって欲しいと、小橋さんは願っています。
すべての子どもたちが、健やかに安心安全にくらし、育まれる地域(まち)。社会の礎となる子どもたちをみんなで見守りサポートする、そんな日本にしていきませんか。
■ご支援の用途
▷チャイルドファーストポータルサイト制作・維持費
▷「子育て説明書」配布用小冊子印刷費